当たり前かのように存在するわたしたちの世界は、「本当のものなのか」という根源的な問いが、一環した作品制作のコンセプトである。わたしは見えているものや流れている時間、それらの存在自体に疑問をもってしまう。時間は「過去」から「未来」へと流れている、草木は下から上へとのびる、それらは当たり前のことだが「本当」なのだろうか。自分とは誰で、本当に存在しているのだろうか。仏教思想が定着した国に生まれ育ったせいか、わたしには自然とそういった感覚が身についてしまっているようだ。

一つ一つの存在に疑問を持つ癖はとても厄介なことで、できればそんなことを考えずに生きる方が面倒でないかもしれない。しかし、「存在」について考えていると、実世界とは違う、別の世界が隣にあるように感じられてくる。その瞬間、時間の概念や全てのものの意味が失われそうになる。それは恐怖でもあるが、同時に、無限の広がりと可能性を感じる。ことばで説明するのが難しい、この不思議な感覚を表現したいという思いが作品を作る原動力である。しかしただ感情のままにその感覚を「放出」するのではなく、抽出し、人の知覚や意識にずれを与えるような世界を作ろうと考えている。

わたしにとって作品制作とは、世界と対峙することであり、この世界の本質に迫ろうとする行為である。対峙する過程で作り上げられるものは、新たな世界の法則を提示するきっかけになるかもしれない。

I think the feeling of really living washes away in the day-to-day, people tend to lose “something essential”. “Something essential” is quality of being aware of your environment. As much as the society evolves, people leave it, I feel a sense of crisis in the situation .

Being conscious of the “something essential ” is very important for me so I can feel that I am fully present in the world. It is possible to approach a little “something essential” by, for example, asking ” What is the time,” “What is this world” and “Who am I”. Then I start thinking about it, I have been feeling here that I am separate from the real world, like I am next to another world. At that moment, the meaning of everything and the concept of time is likely to be lost . It is scary, but at the same time, I feel an infinite growth.